現在流通している人工木材(再生木・合成木材など)の基本的な知識を天然木との比較や違いも含めてわかりやすく解説します。
本サイトでは主にプロ向けで流通している材料の情報をまとめています。
人工木とは?
「人工木」の定義
人工木材について現段階で明確な定義はありません。一般的に人工木材と言われているものは本物の木(天然木)ではなく、木に似せて作られた工業製品を指します。
「人工木」と言う呼称の他、「樹脂木」、「再生木」、「模擬木」、また英語表記では「WPRC(Wood-Plastic Recycled Composite の略)」といった呼び方がされています。
天然木に比べてメンテナンスの手間がかからないため、現在はエクステリア・建築外構・外装への建築化粧材として、ウッドデッキ・フェンス・ルーバーなどが幅広く使用されています。
中でもウッドデッキは近年特に公共工事への採用実績が増えている素材です。
一言で「人工木」と言っても、色んな種類があります
人工木の中でも、メーカーによって原材料と配合比率が異なります。
この原材料の違いが、「人工木」の大枠の中で「どの種類の人工木にあたるのか」という違いとなります。
現在、人工木の素材の分類は、以下の①・②が主流となっています。
①木粉(もしくはその他の素材)と、樹脂を混ぜ合わせた物を原材料とした商品
②樹脂のみを原材料とした商品
③1と2以外の素材を原料とた商品
また、①で使われる樹脂の中にも「ポリプロピレン」「ポリエチレン」「ABS樹脂」などの種類があり、これら樹脂との混合比率によって人工木材の特性が変わります。さらに②の様に、メーカーによっては原材料に樹脂だけを使っている人工木や、③の様な、各メーカーが別素材を使って開発した人工木など、様々な分類にわかれています。(下記図解参照)
- 樹脂のみ
- 樹脂に木粉を配合(樹脂種類はメーカーによって様々です)
- 成形
- 上記に示したような材料を粉砕・混合・ペレット化し、これを押出し成形しさまざまな建材に加工します。機能性のある材料は材料混合時に原料へコンパウンドして、付加機能を加えています。
- 表面仕上げ~仕上げ方法も様々~
- サンディング(研磨により木目を表現)
リブ加工仕上げ(成形時にリブのついた金型を使用)
エンボス(熱処理加工で木目の凹凸を付け木目を表現)
人工木と天然木の違い
天然木には多くの種類があり、また、前項でご紹介したとおり、人工木にも様々な素材の種類があります。そのため、一概にひとくくりとして比較することはできませんが、天然木材は大枠として「ハードウッド」と「ソフトウッド」に大別されます。ここでは、性能面でより人工木に近い比較対象となるハードウッドと、弊社の取り扱う「木粉入りの人工木」について、両素材のメリット・デメリットという形で、素材の違いをご紹介します。
人工木(木粉+樹脂でできた素材) | 天然木(ハードウッド) | |
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質感・色合い | 各メーカーごとに、天然木の質感に近づけるために開発 ・工夫をしており、木質感は商品によって差があります。 |
人工木では表現しきれない本物の質感が何と言っても一番の魅力です。色味は木の本来の自然な温かみがあるため美しく、更には塗料を塗る事で好みの色合いに仕上げる事が可能です。また、天然木独特の色幅があるので、よりナチュラルな仕上がりとなります。 |
加工性 | 通常の木材と同じ道具で、同様に、カット・穴開け加工が可能です。板厚が薄い幕板などは、アール状に曲げて施工することが可能です。 | ハードウッドは丈夫な反面、硬質のため加工する際には専用工具が必要です。また硬質であるために、アールの曲げ加工などには不向きな素材です。 |
腐食性 | プラスチックと木粉を配合した工業製品なので、白蟻などは寄り付かず、防腐処理を施さなくとも腐食しにくい素材です。 | ソフトウッドに比べ、防虫・耐腐食性は高いものの、防虫加工・防腐処理はかかせません。 |
色褪せ | 経年後、多少色褪せはしますが、極端に変色することはありません。 | 塗料を塗布するなど、こまめにメンテナンスする場合を除き、必ず経年後に白銀化します。中には「白銀化」の色変化を見越して天然木を楽しまれる方もおられますが、目に見える変化としては大きい差です。 |
割れ・ささくれ | 経年後にささくれることはありません。 また、割れもはほとんどありません。 |
ハードウッドの種類によって大小の違いはあるものの、経年後に必ずささくれが発生します。また、夏の高温時に、乾燥などで表面が割れてくる場合があります。 |
注意点 | 原料にプラスチックが配合されている特性上、真夏の炎天下や、長時間日光に当たった場合、表面が熱くなるため、デッキの場合には素足で歩くことが出来ません。 | 雨水などにより濡れると樹液が染み出してきて、デッキの下地を汚す場合があります。また、デッキの下地部材にも天然木を使用した場合、経年後に下地が腐ってしまい、板が外れるなどの不具合が発生する場合があります。 |
メンテンナンス経費 | 経年後に防腐塗料を塗ったり、色を塗り直す必要がないため、反り等の不具合があった場合以外には、施工後の経費は発生しません。 | 防腐・防虫処理や塗料塗布など、定期的なメンテナンスが必要なため、施工後の経費が継続して発生します。 |
以上、様々な視点から両素材のメリットとデメリットをお伝えしましたが、最終的には素材の長所・短所を鑑み、お客様のお好みでお決め頂ければ幸いです。
メンテンナンスについて
木粉と樹脂を原料としたタイプの人工木お手入れ方法を、2つのケースでご紹介します。
上記のタイプは基本的に汚れた表面を削り取る方法で汚れを除去します。
ケース1プランターを長年置いていたデッキ材の黒ずみとコケ
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長年、プランターを設置していた為、デッキの木目に土汚れと緑のコケが付着しています。
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デッキに水をまきます。ここでのポイントは、表面を湿らせる程度ではなく、まんべんなくたっぷりと水で濡らす事です。次に、ホームセンターなどで購入できる通常のデッキブラシを使い、デッキの長手方向(写真の上下方向)に向かってゴシゴシとこすっていきます。
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ゴシゴシこするごとに、黒い土汚れとコケが削り取られ、先程まいた水が黒くなっていきます。
程よい所でこするのを止め、綺麗な水で汚れを削った部分を洗い流すとこの通り。写真中段の様に、水だけで汚れを落とすことが可能です。
ケース2落書きなどのインク汚れ&タバコの焦げ跡
人工木の注意点
弊社で取り扱っている、木粉と樹脂を原料としたタイプの人工木の注意点です。
伸縮する
樹脂が含まれている性質上、日当たりや気温によって、必ず伸び縮みします。デッキやフェンスに設ける目地または下穴は、この人工木の伸びしろ・縮みしろを吸収する目的で設けるものです。人工木は伸縮を繰り返しながら、施工場所の環境になじんでいきますので、伸びしろ・縮みしろに余裕を持たせる事が、経年後の不具合を減らす大きなポイントの一つです。
そのため弊社では、施工の際はマニュアル記載の基準に従い、必ず適切な目地(空隙)を設けるようにお願いしています。
水に浸った場所や、多湿の環境には施工しない
木粉が含まれている性質上、吸湿による伸びがあります。この伸びは、降雨などですぐに伸び始めるという性質では有りませんし、また、多少の伸びが起きても、先述の目地で吸収することが可能です。注意が必要なのは、継続して高い湿度にさらされ続ける環境です。その様な環境では想定以上の伸びをきたし、人工木板の反りや浮きと言った不具合や、伸びた素材の端部が隣接する構造物に当たる事で起きる破損など、思わぬ現象につながる場合があります。製品の施工にあたっては、通気性や水勾配の確保、ドレーン、雨水枡の設置など、排水計画をしっかりとご検討下さい。水気に気を付けて頂く事も、経年後の不具合を減らす大きなポイントです。
難燃・不燃性ではありません
製品は可燃性です。燃料タンクなどの危険物および、熱風などの排気口の近くには設置しないでください。また、製品の上やその付近で、バーベキュー・ガスコンロなど、高温になるものを使用しないでください。火を燃やしたり加熱したりすると、製品が燃えたり変形したりします。
ベンチなどへの使用はおすすめしておりません
温度や湿度変化、紫外線での曝露あるいは使用上の摩擦などの影響によって、デッキ表面に粉が発生することがあります。
この粉は、衣類の繊維に付着する事が有りますのでベンチなど直接的なご使用はおすすめしておりません。